受講生の声と実績
受講生の声と実績
2016年 第二回藤本義一文学賞最優秀賞
「なんか、おもしろそう」
きっかけは、たまたま目にとまった新聞広告でした。それまでラジオの投稿ぐらいしかしたことがなかった私は、後々、創作が生活の一部になるとは思いもせず、好奇心だけで心斎橋大学のホームページを開いたのです。その勢いで説明会に申し込み、3時間半かけて遠方から参加したのですが、終了後に事務局の方から申し訳なさそうに言われました。
「毎週通うのは、ちょっと無理だと思いますが……」
あまのじゃくな私は「そうか。じゃあ、やってみよう」と思い、入学の書類を提出して帰りました。その道のプロから直接指導を受けられるカリキュラムが、ミーハーな私にとって魅力的だったということもありますが、今考えると、家族に相談もせずによくこんな無茶をしたなと思います。理性は好奇心に勝てませんでした。
授業は、与えられた課題を完成させて、制作の基礎を学ぶことから始めます。
1年目は小説やエッセイだけでなく、脚本や舞台芸術など多岐に渡りますが、どの分野も頭に浮かんだ話を原稿用紙に書き、添削してもらっておしまいではありません。どこが優れているのか、どこを直すべきか、授業中に講評を受けます。それによって長所短所を把握し、試行錯誤しながら再び課題に取り組むのです。この繰り返しで次第に作風が確立され、ひいてはそれが「どこかに投稿してみよう、公募にチャレンジしてみよう」という気持ちにつながっていきます。
2年目は学びたい科目を絞り込んで授業に臨みます。大学院になると授業はありますが、個々の目標に向かって、ひたすら書き続けるのみ。仕上がった作品の講評を受けるもよし、制作過程で生じた疑問を先生にぶつけるもよし。生徒の自主性に任されています。
入学してからこれまでを振り返って思うのは、自己流の練習では技術の向上に限界があるということです。まず、自分の実力を推し量れない。癖や欠点も気づきにくい。「書く」という日常当たり前に行っている行為ゆえに、客観的に自分を見ることがとても難しいのです。
とはいえ、授業は堅苦しいだけでなく、合間に先生から聞ける業界の裏話や執筆時のエピソードも楽しみだったりします。ここだけの話、それ目当てで通っている面も大いにあります。
作品が初めて活字になった時は「おお、載ってる!」と感動しました。原稿用紙2枚の小話でしたが、創作活動の原点となっている大切な経験です。幸運にもその後、藤本義一先生のお名前を冠する賞を頂きましたが、常に好奇心の塊であることは変わりません。これからも「なんかおもしろそう。やってみよう」の精神で創作を続けていきたいと思います。
※事務局より
2018年春よりコースカリキュラムが変わり、1年目より学びたい分野を選択頂けるようになりました。
多くの分野を学び、視野を広げたい方は、複数コースを受講(同時又は半期ごと変更)頂くことをお勧め致します。詳しくはスタッフにご相談下さい。