受講生の作品

心斎橋大学ラジオシアター

数田加代子 さん
大学院
17期生(2003年度)
性別:女性

第8話:兄貴の彼女

この作品は、心斎橋大学のラジオドラマコンクールで選出され、2019年5月24日(金)ラジオ大阪にて放送されました。作品募集においての設定は、こちらをご確認下さい。

 

【人物表】

倉嶋 翔平(20)大学2回生

倉嶋 慎吾(23)翔平の兄 大学院生

倉嶋 萌 (16)翔平の妹 高校2年生

白川 亜紗美(24)慎吾の恋人 会社員

 

SE 雨が降り始める音。駆ける足音。

 

翔平M「何だよ、予報外れじゃないか。おっ、コンビニ!」

 

SE コンビニの自動ドアが開き、チャイムが鳴る

 

店員「いらっしゃいませ」

翔平「セーフ、最後の一本だ」

 

SE コンビニのチャイム

 

店員「いらっしゃいませ」

翔平「あ、亜紗美さん!」

亜紗美「ああ、あなた、慎吾の、いえ、慎吾さんの……」

翔平「弟です」

亜紗美「傘、売り切れちゃったみたい」

翔平「だったら、これ、どうぞ」

亜紗美「えっ、でも……」

翔平「営業に行くんでしょ?」

亜紗美「あっ、はい」

翔平「(強く)どうぞ」

亜紗美「いいんですか?」

翔平「はい。僕は大丈夫です」

 

SE コンビニのドアが開き、雨の音。駆けだす足音

F・O

 

翔平M「オレ、倉嶋翔平、大学2回生。一応、建築家、志望。両親は薬局を経営していて、多忙。兄と妹もそれぞれ、勉強が忙しい。というわけでオレが料理担当になってる」

 

SE レジ袋から食材を出す音

 

SE 玄関ドアの開閉音。近づいて来る足音

 

慎吾「ただいま」

翔平「お帰り、兄貴。今日は早いな」

慎吾「ああ、たまにはな……今日は何?」

翔平「肉じゃがにしようと思って」

慎吾「そりゃ、楽しみだ」

 

SE 玄関でチャイムが鳴る

 

慎吾「オレが出る」

 

SE インターフォンのモニターのスイッチを押す音

 

慎吾「亜紗美?」

翔平「あっ」

慎吾「なんだ?」

翔平「いや、別に」

慎吾「どうしたんだろう。連絡もしないで」

翔平「さあ」

慎吾「(インターフォンに)すぐ行くよ」

 

M ブリッジ

 

翔平「亜紗美さんは?」

慎吾「帰ったよ」

翔平「そう」

慎吾「お前、昨日、亜紗美に会ったんだな」

翔平「ああ」

慎吾「これ、お礼に彼女が焼いたクッキーだって」

翔平「律儀な人だな」

慎吾「(怒った感じで)なんで言わなかった」

翔平「なんでって。傘、貸しただけじゃんか」

慎吾「そうだけど」

翔平「いちいちLINEで報告するのか?」

慎吾「そうは言ってない」

翔平「ひょっとして、うまくいってないとか」

慎吾「(動揺を隠し)バカ。そんなわけないだろ」

翔平「なら、いいけど」

慎吾「それで……」

 

SE 近づいて来る足音

 

萌「ただいま」

翔平「おかえり、萌……」

慎吾「お帰り……」

萌「えっ? 何! この張り付いた空気」

翔平「あっ、あのさ、兄貴とオレと、彼氏にするとしたら萌はどっちを選ぶかなって、そういう話をしてたんだよ、な、兄貴」

慎吾「えっ? ああ、そうそう」

萌「えっ、そんなことより、ご飯は?」

翔平「飯は炊けてる」

萌「じゃなくて、おかず」

翔平「ああ、今から…」

萌「えっー。慎兄も翔兄も、どうしちゃ

ったのよ」

翔平「急いで作るからさ」

 

SE まな板や包丁を用意する音

 

萌「翔兄、ご飯があるんなら、レトルトカレーでもいいよ」

翔平「そう言うな。兄貴とさっきの話の続き

 をしといてくれ」

慎吾「そうだ、萌」

萌「はあ」

慎吾「で、オレと翔平と、どっちだ?」

萌「そんなの、考えたこともないわ。気持ち悪い」

慎吾「単なる遊びだよ」

萌「そう?」

慎吾「うん」

萌「えーと、そうだ! 昔、バブルの時に『三高男』ってのが流行ったでしょ?」

慎吾「高学歴、高収入、高身長が結婚相手の条件ってやつか」

萌「そう。それが慎兄」

慎吾「オレ? 身長は180あるし、大学院生だから高学歴は当たってるけど、高収入になるか分からないぞ」

萌「だけど、種子島の宇宙ステーションに入るんじゃないの?」

慎吾「それは高収入が約束されるわけじゃないし、入れるかどうかも分からない」

萌「でも、亜紗美さんは慎兄のこと、信じてるんでしょ」

 

SE 鍋が床に落ちる音

 

翔平「ごめん」

萌「びっくりした。ホントに私、カレーでいいから」

慎吾「萌、翔平はどうなんだ?」

萌「翔兄は『四低男』」

翔平「『三低』じゃないのか?」

萌「偉そうにしない低姿勢。自分の事は自分でできる低依存。リスクの少ない職業についている低リスク」

翔平「あと一つは?」

萌「趣味なんかに浪費しない低燃費」

翔平「それで『四低』か」

萌「今はそう言う男性が、モテるんだって」

慎吾「で、翔平がそれだっていうのか?」

萌「うん。テニスサークルに入ってるけど、ほかに趣味はなさそうだし……」

慎吾「卒業して、一級建築士の資格を取れば、低リスクだ」

萌「料理もできるし、偉そうじゃない」

翔平「いや、オレ、無理したくないから二級建築士でいいけど」

慎吾「なんだ、欲のない奴だな」

翔平「だってさ、建築界も活躍できるのは、一握りなんだし、オレ、そういうのいらないから」

慎吾「ところで萌は、どっちを選ぶんだ?」

萌「ゴメン、やっぱり私、考えられない」

慎吾「だよな。翔平、お前が変なこと言うからだぞ」

萌「私、部屋、行くね」

 

SE 出ていく足音

 

翔平「何、苛立ってんだよ」

慎吾「実は俺、大学院やめて就職しようと思って」

翔平「えっ?」

慎吾「それを亜紗美に言ったら、ぎくしゃくしちゃって」

翔平「そりゃ、亜紗美さん、がっかりするよ」

慎吾「亜紗美が地道に営業をやってんのに、俺だけ夢みたいなこと言ってられないさ」

翔平「簡単にあきらめるんじゃねえよ」

慎吾「なんで? オレがあっちに合わすって言ってんだぞ」

翔平「それが嫌なんじゃないのか。彼女の気持ち、分かってやれよ」

慎吾「お前に言われるとはなあ……」

翔平「もう! 仲直りしろよ。わかんない奴だな。車なら追いつくよ」

 

SE キーを取り出す音

 

翔平「兄貴が行かないんなら、オレ、駅まで送ってくる」

慎吾「ちょ、ちょっと待て。オレが行く。免許とりたてに大事な彼女、任せられない」

 

SE キーをひったくり、出て行く音

 

翔平「(笑って)ドライブしてこいよ、ゆっくりな。オレはと……。肉じゃが、肉じゃが」

 

SE 野菜をリズミカルに切る音

 

作品種類
心斎橋大学ラジオシアター放送作
作品集「炎心」コンクール受賞作
作詞修了作品コンクール
公募受賞作品
修了制作 最優秀賞受賞作品
作品ジャンル
脚本(ラジオ)
作詞
ノンフィクション
小説
エッセイ
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