受講生の作品

産経新聞夕焼けエッセー 2011年6月月刊賞受賞

柳 霧津子さん
創作・小説コース
24期生(2010年度)
性別:女性

ひばり

ひばりの声が降ってくる。兵庫県加西市にある神戸大学の食資源教育研究センター。泥まみれで田植えするのは農学部の生徒たち。普通の田植えではない。教員指導のもと、酒米や食用の苗を4000種以上も植えるのだ。
実際の農業に役立つ品種改良や、市場に出荷できる品質が目標なので、皆真剣だ。お気楽体験気分で訪れた私は、気後れしながら田を見渡す。
男女20人ほどが、プールのコース分けのように張られたロープに沿って、品種ごとにていねいに手植えしていく。コシヒカリなどの見知った銘柄以外に、Fの何番と書かれた札がずらりと並ぶ。先生のご厚意で「失敗してもいいエリア」で植えさせてもらった。
苗は細くて短く、なんとも頼りないが、どれも未知の可能性を秘めた米の子だ。緩い土にまっすぐ挿すのは意外と難しい。吸い付く泥に足をつかまれ、宙をかいてあぜ道に尻餅。学生に笑われた。
敷地内には昭和18年、優秀なパイロット育成のために造られた鶉野(うずらの)飛行場跡がある。全国から集められた17歳から25歳までの若者たちが、ここで飛行訓練を受けた後、各航空隊へ配属され、その多くは空に散った。
平成の今、同じ年頃の若者たちは「未来の米」を育てる。時代時代の礎があって、次代が紡がれていく。
帰り際、学生たちに声をかけた。「日本野農業を下支えしてね」「はーい。」明るい笑顔が頼もしい。
上空では小型飛行機のようなひばりが、歌いながらホバリングしていた。

作品種類
心斎橋大学ラジオシアター放送作
作品集「炎心」コンクール受賞作
作詞修了作品コンクール
公募受賞作品
修了制作 最優秀賞受賞作品
作品ジャンル
作詞
脚本(ラジオ)
ノンフィクション
小説
エッセイ
  • 心斎橋大学の一年
  • 受講生の作品

無料体験授業・説明会

最大5回の無料体験!予約受付中
オンライン可。詳しくは、ご予約ページへ!

*下記コースより2回OK*
【エッセイ】
10月…7(土)・23(月)
【脚本】
10月…23(月)
【小説】
10月…3(火)・10(火)・24(火)
【児童文学】
10月…7(土)・21(土)
【ジャンル小説】
10月…7(土)・21(土)
【放送作家】
10月…7(土)・14(土)・21(土)
【俳句】
10月…12(木)・26(木)

*新開講記念!下記より3回OK*
【落語】
10月…5(木)・26(木)
【酒場マイスター】
10月…6(金)・20(金)
【怪談師】
10月…7(土)・21(土)

ご予約はこちらから

  • 作家養成コラム
  • 姉妹校 投稿作家大学
  • 心斎橋大学のfacebook
  • 心斎橋大学のTwitter